信州のおやき2014/11/20 13:39


今朝、向山町に住む姉から電話があった。
「昨日、長野へ行って来たので ’西澤のオヤキ’を買って来た」と言う。
昼頃に貰いに行くと言って電話を切った。

僕は長野生まれですが、中学3年までしか長野には住んでいないので、
今までの人生の中で六分の一位しか、長野の生活はしていない。
ですが、やたらと長野への思いは強いように思う。
生粋の信州人の父と母に育てられ、どちらかと言うと「農家の文化」に影響したせいか、今でも漬け物は大好物だし、うどん、そば、オヤキなど郷土を代表する食べものには目がないのです。

特に漬け物はうるさいと自負している。
東京に居て美味しい漬け物には不自由することがないと思うのですが、
何かが違うとつい口から出てしまうのです。
実際に違いが判るのですから、しょうがないね〜。
で、先述の姉の電話がどれほど嬉しいか判っていただきたい。

もともと、おやきは素朴な農家のおやつなので、時間が経つと旨くない。
回りの皮、うどんこが堅くなってしまうのです。更に中味が痛みやすいので冷蔵庫か何かで冷やしておくことになる。そうすると味が半減するのです。
だから持ち帰ったら直ぐに渡す、或いは頂きに行くということが
相手への誠意になるのです。ある種贅沢な食べものなんだね。

帰るなり暖めもしないでかぶりついたオヤキは旨かったです。
ふるさとの味と空気が口の中で広がり、幸せだったよ。
むかし、祖母や母が作ってくれたそれには当然およばないのですが
「今度自分でも作ってみよう」、食べた後のいつもの口癖だ。旨かった。
子どもの頃に、手伝いで、台所でよくうどんこを練ったりしたからね〜。
今度は孫たちと粘土遊びよろしく、うどんこを練る事にしよう。
そういえば先日みいさんは二人の孫娘とケーキ作りをしていた。
今度は僕が男の孫と泥遊びよろしく、おやきを作ってみようかな。


公園のイチョウが奇麗に紅葉している。
この葉が落ちるころ秋は終わり、初冬になる。
長野では長い冬になり、炬燵に潜る。昔だと囲炉裏を囲む。
その囲炉裏でオヤキを灰の中へ投げ入れる。焼けて取り出したときは熱くてふ〜ふ〜言いながら右、左と手の中で移して冷ます。
そして頬張るオヤキはなにににもまして美味しいおやつだった。
昭和30年代の頃のこの光景を知っている人は稀だ。
僕も祖母の家に行っていなければ経験出来ていない。
そしてオヤキの本当の味を知らなかっただろうね。懐かしい味だよ。