樋口正博さんの通夜に行って来た2019/07/29 15:29


仕事仲間で友人の、ライター&編集者の樋口正博さんの通夜に夕べ行って来ました。
式後の嵐山 光三郎さん、椎名 誠さん両名による献杯音頭は
なかなか味のある絶妙のものでした。
生前の樋口さんとの交流が半端でなかった事を伺える、
「らしい献杯」に、嵐山さんも思わず苦笑いだね。
皆さん喪服でした、Gパンで「駆けつけた」のは椎名さんと僕だけでした、、、。
友人に献杯そして合唱


◆山出 潤一郎
知人から連絡があり、
長年の友だちの樋口正博さんが、昨日(27日)亡くなられたそうです。
つり丸という雑誌で編集長を務め、『わしらは怪しい雑魚釣り隊(椎名誠著)』では
タコの介として登場する、ほんとうに良い人でした。

ライターとしての数々の仕事に加え、釣り界では沖釣りのライトタックル(いわゆるLT)は
彼が先頭に立って船宿を説得し、読者に訴えて切り開いた印象があ ります。
嵐山光三郎さんを釣りの世界にひっぱり込んだのも彼でした。
『WEBバラ図鑑』の主宰者の一人でもありました。
ニフティ釣りフォーラムでは淡水系 のSUB-SYSOPを務めてくださいました。
どうやってお伝えしようか迷いましたが、釣りフォーラム時代からの友だちに伝えるためにFacebookでお知らせすることにしました。

Joe's(ジョー) さん。長女が3歳の頃に買ってくれたひまわりのワンピースは、次女、三女と受け継がれて、みなよく似合い、そのたびに心を和ませてくれました。
そしていつも気にかけてくれてありがとうございました。もう少し一緒に飲みたかったです。

お通夜は、明日7月28日18時から、ファミリーホール多摩(三和式典・東京都多摩市馬引沢1丁目18−7)で。最寄り駅は小田急永山駅、京王永山駅。なお葬儀は地元長野で行われるということでした。
とりいそぎ、ご連絡いたします。


◆小林 ゆかり
覚悟はしていたけど、暑い夏の日にジョーさんが亡くなってしまった。
数え切れないほど飲みにも行ったし、釣りにも行ったし、いつも相談にも乗ってくれたし、
私の子供たちのこともかわいがってくれたジョーさん。

一昨年の冬のはじめに病気の事を連絡くれて、すぐに会いに行きました。
それからは極端に会う回数も減ったよね。
最後に会えたのは1月でした。同じ電車に乗るためにゆっくりゆっくり一緒に歩きました。
ありがとうありがとうごめんなって。
最後に電話で話した時も、ありがとうありがとうと。

こちらこそありがとうだよ。
本当にお世話になりました。

昨日お別れに行けたけど、これから、じわりじわりと更なるさみしさがやってくる。
困っちゃうね、ジョーさん。さようならジョーさん。

◆山出 潤一郎
信州で生まれ育ち、釣りは渓流のフライフィッシングとヘラブナ釣り。
生粋の淡水釣り師だったJoe's(ジョー) さんこと樋口正博さんが、
海釣り雑誌『つり丸』の副編集長として仕事を始めた頃、宮崎で一緒にゴムボートに乗ってキス釣りをしました。

1998.5.28。ニフティサーブ釣りフォーラム【こんぱす会議室】から。
………………………………………………
【日南海岸ヤブレカブレなり】
5月に入ってずっと天候不順が続いていた宮崎地方だけれど、どうにか波もおさまったというので、ゴムボートを出そうと考えていた。

そこでせっせと仕掛けを巻いているところへ、Joe's(ジョー) さんから「明日、宮崎に行くから」という連絡。そうなると夜は飲み会になるに決まっているので、激しく体力を消耗するボート釣りは中止して、磯もの拾いに切り替える。

Joe's(ジョー) さん、カワセミさんとともに宮崎の街で落ち合い、わりと平穏に過ごした翌日、Joe's(ジョー) さんをゴムボートに押し込んで日南海岸に出撃することにした。

以前から目をつけていたポイント。磯場に挟まれて、200mほどの砂地が広がっている絶好の場所だけれど、波打ち際から急深になっているところをみると、ダシが強そうだ。道理で海水浴場にもなっていない。この浜で釣りをしているのも見たことはない。

外洋に開けて、両脇を磯に守られた、潮通しのいい急深の砂浜。しかも定地網つき。と、こう書くだけで、ボート釣り人なら、ぐっとくるものがあると思う。キス、ヒラメ、マゴチ、クロダイ、カワハギ、マダイ、イシダイ、フエダイ、カサゴ。釣れるかどうかは別として、イサキの目すらある。

春には一発、ちょっとした型のマダイ、クロダイを狙えそうだし、秋になれば、それはにぎやかな五目釣りができそうだ。で、今はどうかというと、これはもう大ギスが寄っているにちがいない。

釣り場に着いたのは午後2時を回っていた。道路から荷物をふうふういって運んで波打ち際に降りてみると、どうも波が高い。みていると、どんどん高くなっていくようだ。しかし、沖をみるとうねりはない。ちょっと迷ったけれど、波打ち際をやりすごして沖に出さえすれば大丈夫と判断して、出撃を決める。

慣れてない人と二人でボートに乗って、荒れ気味の浜から出る場合、どちらがどの役目をするか、むずかしい。一応、Joe's(ジョー) さんを先に乗せて、私が波の合間を見て押し出す係になる。

「いいですか、Joe's(ジョー) さん。タイミングをみて、私がえいやと押しますから、後先考えないで、とにかく沖にまっすぐ漕いでくださいよ。質問や相談は沖に出てから受けつけます。人生について考えるのも後にしてください」

しばらく波を眺めて呼吸をはかり、ここというところで沖に押し出す。

せえの。よいやさ。

Joe's(ジョー) さん、一所懸命、ボートを漕ぐ。なかなか進まない(笑)。Joe's(ジョー) さんの背中越しに、大きな波が三つほどきてるのが見える。

「うわ、うわ。Joe's(ジョー) さん、波がきてる。波がきてます。漕いで漕いで。」
「うわ、うわ、ボートが横向いてます。まっすぐまっすぐ。波がくる波がくる。うわ、うわ、うわ」

どっぱあん。

二人とも頭から波をかぶり、ボートはすっかり水船となってしまった。ボートはさらに岸際に寄せられ、横を向き、さらに波がこようかというところを奇跡的に立ち直り、船首が沖側を向いてやりすごす。

「Joe's(ジョー) さん、Joe's(ジョー) さん、大丈夫ですかJoe's(ジョー) さん。ああ、オールにロープが絡まってます。これじゃ進まないや。とにかくほどいて場所を代わりましょう。私が漕ぎます。あ、耳に水が入ってるや。ひどいですね、こりゃ。まあ、とにかく危機は脱しましたから安心してください」

Joe's(ジョー) さん、あまりのことに声もない(笑)。

とにかく少し沖に出たところで、濡れねずみになった二人は仕掛けを用意し、ぽちゃんと放り込むと、すぐにアタリ。キス、20センチ。

いるじゃないですか、いるじゃないですか。思った通りだ。いい釣りになりますよ。すぐにJoe's(ジョー) さんにアタリがあり、竿を2度ほどしめこんで、でっかいキスが上がってくる。25センチもある。

「うわー。でけえ。こんなキス、見たことないぞ」
「よしよし。釣りましょう釣りましょう。濡れたんだから釣らにゃ合わんです」

明日は東京に帰るというのに、旅空の下でパンツの中まで濡れてしまったJoe's(ジョー) さんの境遇というものは、悲惨といえば悲惨だけれど、すでに全身濡れてしまえば、お互いにもうヤブレカブレなのであって、とにかく今は釣りに集中するしかないのだ。

1時間半釣って、二人で25センチを頭に10尾の釣果。キスは天ぷらと刺身と塩焼きとなって、ヤブレカブレのココロというものをおだやかに慰めてくれた。実にうまかった。いい日になった。

荷物を背負って自宅の階段を昇っている時に、頭の中で、でいん、でいんと音がした。

まだ耳に水が入っていたのだった。

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