炎天をいただいて ― 2017/08/13 13:43
炎天をいただいて乞ひ歩く 山頭火
早稲田大学のキャンパスに通じるバス通りに人だかりの小さな店があった。
覗いてみると、天井から壁にべたべたと貼られたB5判くらいの紙には
「3畳◯◯円」「2畳半下宿朝晩食事有り」などと、
田舎の高校3年生の僕には意味不明の言葉が書き連ねられていた。
合格発表が当時の教育学部4号館の前に張り出され、
自分の番号を確認するとただただ嬉しくて、界隈をブラブラしていて遭遇したのが
新入生を相手にしたこの不動産やだった。
池袋要町の「西村」さんの下宿屋をこの不動産屋で決め、1年間お世話になった。
西村さんには7、8人の下宿人が居て、
その中に一人早稲田の先輩・細田さんが居た。
必然的に一番仲が良くなり、翌年には細田さんと二人相部屋の間借りを
目白の千歳橋近くにある「安保」さんの洋館に引っ越し、1年お世話になった。
元明治大学の教授をしていた主は目を患い退職、大きな屋敷を学生に間貸ししていた。
安保さんの奥さんからは、近くにある「和敬塾」の話しを聞き、覗きにも行った。
「和敬塾」は、加計学園問題で「証人喚問に出た」前川喜平元文科省事務次官の祖父・
喜作氏が「共同生活を通した人間形成」を目指して開いたという、男子専門の学生寮だ。http://www.wakei.org/
作家・村上春樹が、早稲田大学一年の春から秋まで和敬塾にいたというので、
僕の目白時代より2、3年後かな?
代表作『ノルウェイの森』に出てくる寮は、和敬塾をモデルにしているという。
和敬塾は、元首相細川護煕の祖父が細川侯爵家の本邸として建てた西洋館で、
隣の椿山荘が山県有朋の屋敷跡、あの田中角栄邸も2、3軒隣にあり
鬱蒼とした杜は、日本近代の歩みをヴィヴィッドに感じさせてくれるゾ〜ンだよ。
急になんで目白なのか、不思議なんだがとにかく50数年前の色々な想いが湧いて来た。そして努力もしないのに、ネガティブな学歴コンプレックスや
ルサンチマン(ressentiment)を持ち、辛いことがあるとすぐ逃げ出すメンタリティを持ち、
嘘をつく総理大臣にNOを言い続ける前文科省事務次官の前川氏に、
不思議なパワーを人間力を感じるのは僕だけではないだろう。
今の前川氏の行動を見て、それが付け焼き刃ではなく、
祖父からのDNAの筋金入りだったということも分かる。
前川次官講演(2016)「夜間中学を作る会講演」のYOUTUBEもなかなか興味深い。https://www.youtube.com/watch?v=3sXvOjA8s2c
近くの神社では蝉時雨、炎天下でタダタダ煩く感じる今日は8月13日、
月遅れの迎え(日)火になった。
父、母の好物であった信州のナス・丸ナスでジリジリ(油炒め)を作り、供え、
今晩お迎えしようと思う。
炎天をいただいて乞ひ歩く 山頭火